この記事は2009.10.18 Sundayに書かれたものです。
皆さんこんにちは。当店ベテランスタッフです(笑)。
では早速Digidesign Elevenrackの音質についてインプレッションさせて頂きたいのですが、その前にElevenrackの主な概要をお話させて頂きます。
カタログを開くと初めに書いてあることが、「ギタリストがスタジオやステージで直面する問題を解決するようデザインされた」とありますが、たぶんこの言葉が全てを表しているような気がします。
言い換えればこれはマルチエフェクターでもアンプシミュレーターでもない、独自のコンセプトの元に開発されたギタリストの為の道具と申しますか、ある意味、音楽を創造(つまり聴き手を感動させたり、高揚させたり)することを目的とした道具であるということです。
ですので、たとえばヴィンテージ・アンプやエフェクターを嗜好品としてお持ちになられている方が、それらを横に並べてElevenrackとどちらのサウンドが最高であるかと比べた場合、もちろんそれら(あくまでも状態の良い本物)にElevenrackのサウンドが匹敵するかと言えば私はNO!と答えます。たとえば高級アンプのリッチ感(艶や奥行、温かみ等)は無論本物だけが持ち得るのであって、その素材の良さは決してシミュレートで出せるものではないでしょう。
ただ、それ以上に感じることは、もし自分が音楽をクリエイト、すなわち創造する立場なら、様々な状況下で使用するわけですし、そのようなデリケートな楽器をいつでも持ち歩けるとは限りません。
しかもどのような状況に於いてもある程度のサウンドクオリティーを常に維持しなければならない場合は道具としてのサウンドの良さ、機能性の良さ、そしてその発展性は非常に重要なファクターであると考えられます。
このElevenrackのサウンドが現時点で発売されている他の機種のどれよりもそのような使用方法に於いて特化したモノであるかは、そのサウンドを実際に体験しないと判らないことであり、そのサウンドを一度でも体験すれば「ギタリストがスタジオやステージで直面する問題を解決するようデザインされた」ツールであることは容易に理解出来ます。よって、私自身もその“道具としてのサウンド”に感動したわけであり、そのことを頭の片隅に入れた上でこれから先をお読み頂けると、誤解もなく幸いと考えます。
さて、折角コチラのブログで取り上げるわけですから、デスクトップ・ミュージックのツールとしての使用方法はひとまず置いておき、あくまでプリアンプ&エフェクター単体としての性能に重点を置いてサウンドを探っていきます。
私がコチラの製品を初めて試した時、まず驚いたのが、エフェクターの種類とそのネーミングでした。
「むっ、こ、これはよくある、ただのマルチエフェクターという類のものではないぞ!」
と申しますのもモニターに映し出される歪み系の中のオーバードライブの色が、緑でツマミが3つ、そして名前がなんと、「JRC OVER DRIVE」となっていたからです。エフェクターに詳しい方ならもうこれだけでお判りになるでしょう(笑)。
つまり、キング・オブ・オーバードライブとして90年代以来、君臨しているIbanezのTS-808/TS-9を確実に意識しているのはアリとしても、さらにオペアンプまで「JRC4558D」のTSであるといった主張です(笑)。ここで思わずニンマリしてしまうわけですね。外人特有の一種のジョークであることは感じるのですが、「このツールをナメるなよ」といった、相当ギタリストをよく判っている、あるいはギタリスト自身が開発に携わっていることがこの「JRC」という文字で垣間見えるわけですね(笑)。
さらに歪み系はこの他には潔く2つしかありません。ひとつは黒くてツマミが3つの正方形、もうお判りでしょうがPROCOのRAT、そして銀色のラージボディーにツマミがトライアングルで3つ、そうです、E/HのBIG MUFF、と以上の3種類だけ。単純にオーバードライブ、ディストーション、ファズが入ってるだけなのですが、それらの特色が良い部分も悪い部分も(ここが重要!)リアルに再現されているあたりがいわゆる派手さと奇抜さと多機能重視のそんじょそこいらのマルチエフェクターと一線を引くものであるわけです。これらのサウンドの詳細は後述いたします。
さらにもっと言えば、コンプは近年様々なブティック・エフェクターメーカーのリメイク母体となっているROSSのコンプレッサー、フェイザーはMXR PHASE90、コーラスはBOSS CE-1はお決まりとしても、エコープレックス、E/H デラックス・メモリーマン(アナログディレイ)、ユニヴァイブ、そしてワウはJENとVOXの切り換えが可能、等アナログストンプBOX&ヴィンテージ名器のオンパレード!!であり、しかもそのどれもが良い意味でも悪い意味でもそれっぽい。一言、よく研究されています。
また、何と言ってもスゴイのが、このElevenrackにはデジタル系のエフェクター群、たとえばデジタル・ディレイやピッチ・シフター等が入っていません。デジタルなのにですっ!!(笑)センド・リターン端子が付いており、LOOPは好きな順番(位置)にかませられるので、そういうのはそっちで勝手にやってくれっ!!といったアナログサウンドへの追求、こだわり様はむしろ痛快過ぎるとも言えます。
確かに現在の音楽状況では、ギタリストのアナログ器材回帰は当たり前のものであり、それは内外問わないわけですからこうした時代のニーズに沿ったレイアウトは必然であっても、今までのデジタル・マルチエフェクターであれば「うわべ的にそれっぽいサウンドを作る」に終始していたものが、それを本当に使用している錯覚に陥らせてもらえるあたりにシンプルでありながらも斬新さを感じるわけですね。
そして忘れてならないと言いますか、むしろメインと言えるのがアンプ、つまり「プリアンプ」です。
コレの接続順も好きな場所に持っていけるのですが、より本物のアンプの使用方法に近づける為には最後に持ってくるのがよりそれらしいでしょう。
マーシャル、フェンダー、VOX、メサ・ブギー、ソルダーノといった大スタンダードのサウンドは当然レイアウトされているものの、特筆すべきはサウンド自体の奥の深さとタッチ&レスポンスでしょうか??まさかっ?と思うのですが、ギター側のVOL操作に対応してくれるのです。弱くクリーンに弾けばクリーンに、しかも高域のキラキラした倍音が残ってくれます。これはプレキシをイメージしたプリアンプに顕著に現れます。
しかも、たとえばマーシャルならあのクセのあるJCM800のサウンドや、フェンダーならばブラック・フェイスの他、デラックス系のツイードタイプのサウンドを数種シミュレートしてあり、そのどれもが「それっぽさ」という点で格段に今まで発売されたどの製品をも上回っています。
スピーカーキャビネットも当然選べるわけですが、私が感動したのはレアであるグリーンバックと言われるマーシャル・キャビネットが再現されていた点。
これは技術者が理屈で作った製品というより、ギタリスト自身が直接開発に携わって、耳で作っている、つまりジャンルや方法は違っても、ブティック・アンプ&エフェクター・ビルダーたちの音作り、つまり製品作りの工程とさほど感覚的に違わないのでは??というのが率直な感想です。
以上のことから、次回はElevenrackの各音質についてのインプレを独自の視点からしてみます。あと一回お付き合い下さいます様お願いいたします(笑)。
<Eleven Rack セミナーイベント第1弾!!>
関東に初上陸!
Eleven Rack がやってきた!ヤア!ヤア!ヤア!!
日程:10月22日(木) 16:00〜/19:00〜
場所:宮地楽器神田店 2Fライブホール「Zippal Hall」
参加費:無料
詳しくはコチラをご覧下さい。
では早速Digidesign Elevenrackの音質についてインプレッションさせて頂きたいのですが、その前にElevenrackの主な概要をお話させて頂きます。
カタログを開くと初めに書いてあることが、「ギタリストがスタジオやステージで直面する問題を解決するようデザインされた」とありますが、たぶんこの言葉が全てを表しているような気がします。
言い換えればこれはマルチエフェクターでもアンプシミュレーターでもない、独自のコンセプトの元に開発されたギタリストの為の道具と申しますか、ある意味、音楽を創造(つまり聴き手を感動させたり、高揚させたり)することを目的とした道具であるということです。
ですので、たとえばヴィンテージ・アンプやエフェクターを嗜好品としてお持ちになられている方が、それらを横に並べてElevenrackとどちらのサウンドが最高であるかと比べた場合、もちろんそれら(あくまでも状態の良い本物)にElevenrackのサウンドが匹敵するかと言えば私はNO!と答えます。たとえば高級アンプのリッチ感(艶や奥行、温かみ等)は無論本物だけが持ち得るのであって、その素材の良さは決してシミュレートで出せるものではないでしょう。
ただ、それ以上に感じることは、もし自分が音楽をクリエイト、すなわち創造する立場なら、様々な状況下で使用するわけですし、そのようなデリケートな楽器をいつでも持ち歩けるとは限りません。
しかもどのような状況に於いてもある程度のサウンドクオリティーを常に維持しなければならない場合は道具としてのサウンドの良さ、機能性の良さ、そしてその発展性は非常に重要なファクターであると考えられます。
このElevenrackのサウンドが現時点で発売されている他の機種のどれよりもそのような使用方法に於いて特化したモノであるかは、そのサウンドを実際に体験しないと判らないことであり、そのサウンドを一度でも体験すれば「ギタリストがスタジオやステージで直面する問題を解決するようデザインされた」ツールであることは容易に理解出来ます。よって、私自身もその“道具としてのサウンド”に感動したわけであり、そのことを頭の片隅に入れた上でこれから先をお読み頂けると、誤解もなく幸いと考えます。
さて、折角コチラのブログで取り上げるわけですから、デスクトップ・ミュージックのツールとしての使用方法はひとまず置いておき、あくまでプリアンプ&エフェクター単体としての性能に重点を置いてサウンドを探っていきます。
私がコチラの製品を初めて試した時、まず驚いたのが、エフェクターの種類とそのネーミングでした。
「むっ、こ、これはよくある、ただのマルチエフェクターという類のものではないぞ!」
と申しますのもモニターに映し出される歪み系の中のオーバードライブの色が、緑でツマミが3つ、そして名前がなんと、「JRC OVER DRIVE」となっていたからです。エフェクターに詳しい方ならもうこれだけでお判りになるでしょう(笑)。
つまり、キング・オブ・オーバードライブとして90年代以来、君臨しているIbanezのTS-808/TS-9を確実に意識しているのはアリとしても、さらにオペアンプまで「JRC4558D」のTSであるといった主張です(笑)。ここで思わずニンマリしてしまうわけですね。外人特有の一種のジョークであることは感じるのですが、「このツールをナメるなよ」といった、相当ギタリストをよく判っている、あるいはギタリスト自身が開発に携わっていることがこの「JRC」という文字で垣間見えるわけですね(笑)。
さらに歪み系はこの他には潔く2つしかありません。ひとつは黒くてツマミが3つの正方形、もうお判りでしょうがPROCOのRAT、そして銀色のラージボディーにツマミがトライアングルで3つ、そうです、E/HのBIG MUFF、と以上の3種類だけ。単純にオーバードライブ、ディストーション、ファズが入ってるだけなのですが、それらの特色が良い部分も悪い部分も(ここが重要!)リアルに再現されているあたりがいわゆる派手さと奇抜さと多機能重視のそんじょそこいらのマルチエフェクターと一線を引くものであるわけです。これらのサウンドの詳細は後述いたします。
さらにもっと言えば、コンプは近年様々なブティック・エフェクターメーカーのリメイク母体となっているROSSのコンプレッサー、フェイザーはMXR PHASE90、コーラスはBOSS CE-1はお決まりとしても、エコープレックス、E/H デラックス・メモリーマン(アナログディレイ)、ユニヴァイブ、そしてワウはJENとVOXの切り換えが可能、等アナログストンプBOX&ヴィンテージ名器のオンパレード!!であり、しかもそのどれもが良い意味でも悪い意味でもそれっぽい。一言、よく研究されています。
また、何と言ってもスゴイのが、このElevenrackにはデジタル系のエフェクター群、たとえばデジタル・ディレイやピッチ・シフター等が入っていません。デジタルなのにですっ!!(笑)センド・リターン端子が付いており、LOOPは好きな順番(位置)にかませられるので、そういうのはそっちで勝手にやってくれっ!!といったアナログサウンドへの追求、こだわり様はむしろ痛快過ぎるとも言えます。
確かに現在の音楽状況では、ギタリストのアナログ器材回帰は当たり前のものであり、それは内外問わないわけですからこうした時代のニーズに沿ったレイアウトは必然であっても、今までのデジタル・マルチエフェクターであれば「うわべ的にそれっぽいサウンドを作る」に終始していたものが、それを本当に使用している錯覚に陥らせてもらえるあたりにシンプルでありながらも斬新さを感じるわけですね。
そして忘れてならないと言いますか、むしろメインと言えるのがアンプ、つまり「プリアンプ」です。
コレの接続順も好きな場所に持っていけるのですが、より本物のアンプの使用方法に近づける為には最後に持ってくるのがよりそれらしいでしょう。
マーシャル、フェンダー、VOX、メサ・ブギー、ソルダーノといった大スタンダードのサウンドは当然レイアウトされているものの、特筆すべきはサウンド自体の奥の深さとタッチ&レスポンスでしょうか??まさかっ?と思うのですが、ギター側のVOL操作に対応してくれるのです。弱くクリーンに弾けばクリーンに、しかも高域のキラキラした倍音が残ってくれます。これはプレキシをイメージしたプリアンプに顕著に現れます。
しかも、たとえばマーシャルならあのクセのあるJCM800のサウンドや、フェンダーならばブラック・フェイスの他、デラックス系のツイードタイプのサウンドを数種シミュレートしてあり、そのどれもが「それっぽさ」という点で格段に今まで発売されたどの製品をも上回っています。
スピーカーキャビネットも当然選べるわけですが、私が感動したのはレアであるグリーンバックと言われるマーシャル・キャビネットが再現されていた点。
これは技術者が理屈で作った製品というより、ギタリスト自身が直接開発に携わって、耳で作っている、つまりジャンルや方法は違っても、ブティック・アンプ&エフェクター・ビルダーたちの音作り、つまり製品作りの工程とさほど感覚的に違わないのでは??というのが率直な感想です。
以上のことから、次回はElevenrackの各音質についてのインプレを独自の視点からしてみます。あと一回お付き合い下さいます様お願いいたします(笑)。
<Eleven Rack セミナーイベント第1弾!!>
関東に初上陸!
Eleven Rack がやってきた!ヤア!ヤア!ヤア!!
日程:10月22日(木) 16:00〜/19:00〜
場所:宮地楽器神田店 2Fライブホール「Zippal Hall」
参加費:無料
詳しくはコチラをご覧下さい。
お問い合わせフォーム
- 2009.10.18 Sunday